飯田リニア通信 更新:2024/07/28

「リニア地下水問題 緊急学習会」

 7月19日に中津川市内で「リニアを考える岐阜県民ネットワーク」が「リニア地下水問題 緊急学習会」を行いました。

 南木曽町議・坂本満さんから、トンネル掘削による湧水と水資源の水位の関係について、ジャーナリスト・井澤宏明さんから、瑞浪市大湫町の井戸などの水位低下に対するJR東海の対応のようすについての講演、東濃リニアを考える会の原重雄さんから、岐阜県内のリニア工事の進捗状況について報告、また岐阜県内の工事による問題点について地域ごとの報告がありました。

 中アトンネル山口工区は長野県境まであと100m。長野県に入るとすぐに南木曽町の妻籠水道水源の直下を掘削。妻籠水道水源への悪影響が心配されます。坂本さんは、南木曽では工事の前に代替水源などを準備するという協定を結びその工事が行われているが、維持管理などについてJR東海の関与を30年に区切っているのは不十分と指摘。

 岐阜では瑞浪市大湫(おおくて)町で水枯れで大きな問題が起きていますが、井澤さんが岐阜県担当部長などにインタビューをしたビデオを紹介。担当部長が答えに窮する場面もあり、JR東海の対応は、NATM工法の水があれば抜くを基本に工事をしている姿は明らかです。

 岐阜では今後、駒場トンネルによる水枯れも心配との報告もありました。

 大湫に関係する日吉トンネルの環境保全計画は、井戸水位の観測などで水位低下を迅速に把握して、緊急の水源を手当てし、代替水源を確保する、この方法は実績があるとしています。本来環境を守るなら、変化の把握は工事中止の検討となるべきなのです。しかし、現在の環境影響評価制度は、事業はともかく行うが前提で、事業の中止や変更は視野に入れていない。日本の評価制度は世界水準で非常に遅れているのです。制度がそうなっているからしょうがないではなく、住民の運動で変えていく姿勢が必要だと思います。

リニアは特権、水は人権

 代替水源が別の開発事業で代替水源が必要になる可能性だっておおいにあり得ることです。どこにも代替水源がなくなったらどうすればよいのか? 外国から輸入でもするのでしょうか?

 西九州新幹線では、代替水源の調査ボーリングで長崎本線のトンネルに穴をあけ列車を損傷するという、鉄道運輸機構が自分で掘ったトンネルに穴をあけるという、あきれるような事故まで起きました。

 7月22日の『赤旗』が "人口減が水道事業の危機招く? 水は人権の視点で 国・自治体は支えを" という記事を掲載しました。水道の「広域化は地方議会の関与を必要とせず、広域化後は住民が水道事業者に対し意見する場がなくなる」と指摘し、水は「商品」ではなく「人権」の視点で考えるべきとしています。

 JR東海がアセスメントや環境保全計画でしめす代替水源で対応するという考え方は、水も商品であって金銭で代替できるという考えといえます。沿線各地の水の問題はその地域の住民の人権の問題。30年で区切ることなどできないはずです。水は人権ですが、リニアには東京から名古屋や大阪へ短時間で行きたいという特権的な考え方があると思います。どちらが優先されるべきかは明らかです。

以上