飯田リニア通信 更新:2024/05/15

ストップ・リニア!訴訟ニュース第37号

 訴訟ニュース第37号をお届けします。

 今回は、3月に行われた岐阜県御嵩町で行われた弁護団合宿と残土処分地の視察について、4月25日の訴訟本体の控訴審の第1回口頭弁論についてです。

 4月25日の裁判後の報告集会では、静岡県中央新幹線環境保全会議委員で地質学者の塩坂邦雄さんに、JR東海がいま高速長尺先進ボーリングを再開しようとしているその場所の地質についてお話を聞きました(ニュース3ページ)。JR東海が提案している「田代ダムの取水制限案」は成り立たないだろうというお話です。なお塩坂さんの名前の「邦夫」は間違いです。「邦雄」に訂正します。

Youtube に塩坂さんの講演の動画が掲載されています。

 静岡県では川勝知事が突然辞職し、選挙戦が始まっています。すでに、皆さまお気づきのとおり、静岡の工事の未着工はJR東海側の調査不足と説明不足に原因と責任があります。さらに、静岡以外の沿線でも、大都市のシールド工事が上手く進まないなど、全体的に工事は遅れています。そもそも工事の計画に無理があったのです。

 長野県内では、南アルプストンネルについては、JR東海は2026年11月までに長野工区のトンネル工事を完了するという目標を断念すると3月に説明しました。予想以上に地質が悪く慎重に工事を進めなくてならないからというのが理由です。長野工区については、これまでの掘削のペースの実績からみればあと6~8年程度はかかるでしょう。大鹿村内の伊那山地トンネル・青木川工区は現在は中央構造線部分を慎重に掘っており、残すところ約3㎞でこちらも2026年9月の完成目標を断念しています。南アルプストンネルと伊那山地トンネルを結ぶ小渋川橋梁は、2つのトンネルの坑口を足がかりに工事をするという計画で、工期7年ですが未発注です。仮に2026年中までに掘削が終ったとしても小渋川橋梁の完成は2033年です。

 駅周辺ではほとんどの家屋の解体が済みましたが、開業の大幅な遅れで飯田市は駅周辺整備計画の見直しを迫られています。

 駅西から掘削する風越山トンネルのシールド工法区間は約5~8年の工期ですが、2025年度の掘削開始なので2027年には間に合いません。調布で起きたような陥没事故や地盤沈下の心配だけでなく、都市部のシールド工事の停滞をみると、そもそもシールド工事が順調に進むのか疑問です。

 以上の工事の遅れは、JR東海が4月に、2031年以降の完成と公表した山梨県内と座光寺地区の工事以外の場所です。

 リニアは必要なのかという声もほうぼうから聞こえ始めました。これからも、早期の建設工事の中止を強く求めていきたいと思います。