飯田リニア通信 更新:

「リニアから自然と生活環境を守る沿線住民の会」が飯田市に要望書

 3月25日に「リニアから自然と生活環境を守る沿線住民の会」が飯田市に要望書を提出しました。

 4月15日に、飯田市から回答があり約2時間質疑応答が行われました。

 同席させていただいて、ちょっと気になった点は、風越山トンネル上部の地権者に対する「起工承諾」についての回答です。

 JR東海の従来の説明では、地上部分の土地所有者に対して工事の許可をとるのか取らないのかという点(起工承諾)がまったく不明確でした。今回の飯田市の説明は、2015年3月20日の第189回国会・衆議院国土交通委員会での共産党の本村議員の質問に対する答弁の一部をつかっていました。政府も飯田市もこぞってJR東海の横着なやり方について間違っていないと弁護しているのは明らかです。これじゃ、飯田市はJR東海の下請けと呼ばれても仕方ないですね。

 3大都市圏の一定の地域については大深度法は、40mより深い部分については事前に工事の承諾や保証をせずにトンネルが掘れるとしています。この法律の成立の背景には、(1)明治以来、田舎の山岳部のトンネルについては地権者の工事の許可を取るだけで(起工承諾だけで)工事を行うという慣例が行われてきたが、(2)都市部では土地所有者の権利主張するし、補償も要求するので手続きが大変で事業計画が遅れることがあったので、「公共目的の地下利用であれば無償で使えるようにしようという発想」(※)がありました。

※ p189、野沢太三著『新幹線の軌跡と展望』三省堂書店、2010年7月

 つまり、地方では、トンネルの工事のまえに地権者に承諾をとることは当たり前のこととされているのです。ところが、JR東海は明確に説明しない。となれば、具体的に飯田市内の風越山トンネルの場合でいえば、(ア)許可を取らずに掘る、(イ)トンネルの深さは30m以深で補償はなく、区分地上権の設定もしない、とおうのですから、実質的には都市部の大深度法が適用される地域と同じ扱いになってしまいます。田舎では、「起工承諾」は必要ないというのは、JR東海の独特の考えのように思え、そんな言い分を通そうとするなら、都市部であろうと、大深度法の適用を申請する必要はないはず。

 都市部では住民や地主の権利意識が強いので大深度法の適用を申請するけれど、田舎の人たちは、人が良いので、権利意識が薄いので、「起工承諾」は必要ないということじゃないか。それは地方の住民を差別していることにならないか。このようなJR東海の説明の仕方は認可にあたって国交大臣が、丁寧な説明をして住民の理解を得るようにという支持にしたがっているとはいえないです。

 なお、風越山トンネルは、都市部と同じ大断面のシールド工法で掘削が行われますが、ここの地質は地質が比較的柔らかい点は都市部と似ていますが、ところどころに巨石が眠っているという点がちょっと違う点です。

住民の会だより 第7号 2024年4月10日