飯田リニア通信 更新:2023/07/19
「ストップ・リニア!訴訟」で不当判決
7月18日、「ストップ・リニア!訴訟」の判決言い渡しが東京地裁でありました。開廷前の傍聴券抽選では160人以上の希望者がありましたが、81人が入廷出来ました。この日、地裁入口の手荷物検査の機械が故障しており、係員がカバンの中身を目で見て確かめており、裁判所の入口前には、開廷時刻になっても傍聴当選者の長い列が続いていました。
判決は原告の敗訴でした。傍聴した人に聞くと、判決については、小さな声で、非常に短いものだったとのことでした。
判決後、衆議院議員第1会館で報告集会が行われました。弁護団の横山弁護士のコメントです。
原告の主張はこうだ、被告と参加人の理由説明はこうだとならべ、これでいいんだという形の判断の仕方になっている。「それはそうだけれど」と、原告の主張を少しでも認めると、判決の全体の形が崩れてしまう。全然、原告の主張を認めないのはそのせいである。データを出さずに説明してきたJR東海について、国の面子があるから、国が騙されたという形が取れない。
認可は適法でなかったけれど、でも、いま止めると大変なことになるから、とめられないよねという形の判決(事情判決)を予想したが、それは原告側としては、もう一歩で原告側の勝訴じゃないかという判決の可能性も考えられるものだが、裁判所に勇気がなかったといえる。で、かたくなに原告の主張を無視するという形になったのだろう。
逆に言えば、それだけこの認可はまずかったということを裁判所が自覚していたことなのだろうともいえる。しかし、そうのべるわけにはいかない。三権分立ということもあるし、もう一歩進んで、ではなぜ認可を取り消さないんだと批判される可能性もあるだろう。
(全体で約700ページの判決文の)400ページもないところで本文は終わっていて、残りは環境影響評価書などの抜き出しを資料としてくっつけただけのもの。理由については、被告と参加人のいい分のコピー・アンド・ペ-ストなので、いままでの原告側の主張がそのまま反論になる。
認可がまずいものだったという点は、裁判所に伝わっていたと思われるが、それ以上に進める勇気が裁判所にはなかったのだろうと思う。
控訴審では、同じように丁寧にやっていく必要があると思う。いままでに出したものを、どこを補強してくかということが必要。
全幹法の手続きはこれで良かったのかという点。
乗車して事故にあう可能性についてはどうなのか、JR東海は皆さん乗りなさいよといっている。「のぞみ」のかわりということであり、我々は使わざるをえなくなるということになれば、我々の身体の安全性が害される可能性が出てくる、個々の人間の権利がおかされる、個々の国民が危ないいじゃないのといっていることについて、国が安全だといっただけですむことではないから、JR東海に安全性を実証させるということを、裁判所がすすめなければならない。裁判官も自分も使うかもしれないと思ったら、もう少しまじめにやれよということで、きちんと実証しなさいよとJR東海にいうはなしになってもおかしくない。
全幹法というのは、そもそも、東海道新幹線ができて、さらに山陽とか東北にのばしていこうということで、同じレールのシステムで、全幹法で広めようとするものだったはず。リニアはシステムが違う。幹線のシステムとしてこれからも使える要素があるのかという点を検証しなければならない。一番最初のものについて、しかも私企業であるJR東海がやるものだから、最初のものとしてしっかりきちんとやらなければいけないというところを、控訴審では裁判所に理解させ、さらに判断を進めることをきちんとやってもらうことが必要だと思う。
どのようにやっていくかを知恵をしぼっていかなくてはならない。そのためには、各地で起きているいろんな問題を、裁判所にぶつけていかなければ。山梨の視察ではこれはちょっとひどいという印象をもったようだが、それについて判決に触れていないのはまずいと思ったからだろう、そこに触れると判決全体がおかしくなるという自覚があったのだろうと思う。裁判所が、国やJR東海にこれはどうなのかと問えるような、証拠の出し方、主張の仕方を考えていかなければならないと思う。大変なことになっているという事実については裁判所に伝えていくことが大事。あとになって分かったことについて、審査できなないというが、前にろくに審査しなかったからこういうことになっているんじゃないのかという点も強く出して行く必要がある。そうしないとこの判決は覆せない。
原告側が法廷では圧倒していたことはその通りだが、裁判所の勇気をしぼりださせるまでには至らなかった。控訴審ではそれをやるためにみんなで知恵をしぼり汗をかいて考えたいと思う。
ストップ・リニア!訴訟の原告団、弁護団、サポーターは、判決について以下の声明を出しました。
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