飯田リニア通信 更新:2019/12/16

第2回「龍江の盛土を考える講演会」(報告)

 飯田市の龍江地区の清水川の中流がリニア残土の処分地の候補地にあがっています。候補地より上流には5つの支流があって、降雨の集水域が非常に広く、谷というよりは川の中に盛土する形で、危険性が高いとの指摘があります。

 龍江地区で、住民が組織した「龍江の盛土を考える会」は、10月19日に、桂川雅信さんを講師に第1回の講演会を行っていました。12月14日は、第2回目。会場は龍江公民館。講師は、高森町在住の地質学者の松島信幸さん。演題は「『私たちの大地』~龍江・清水川流域の地質的特徴について~」。

松島さんの講演の要点は:

天竜川の東の龍江地区は三六災害では、小規模のがけ崩れはあったが、天竜川の西側の飯田市山本地区や王竜寺川による今宮付近、野底川による城東地区のような広範にわたる被害はなかった。埋め立て候補地は清水川の中流で、さらに上流に5本の支流がある。支流の主な部分を実際に歩いてみた。支流の谷底には各所に水田の跡があった。過去に土石流があって流れに沿って平坦部ができたと考えられる。最上流部には300万年前の天竜川による古い礫層があった。我々が暮らしている、南アルプス、中央アルプス、三河高原は最も変動が大きな地域であり、天竜川の西側も東側も運命共同体。そういう場所と認識する必要がある。通常は流れはささやかだが、現状でも豪雨時には相当の水量が流れていると住民の方が言っており、2014年には一部で崩落も起きている。人の一生からみて、災害について安心な場所と思っても、自然災害のサイクルはもっと長い。最近の各地の災害をみれば気候変動は差し迫った問題。現在のわれわれの時代に起きなくても孫子の時代には起こる可能性はある。残土盛土の問題ついて、行政に丸投げして住民が黙っているとJR東海の思うがままになってしまう。残土問題に限らず種々の問題は住民が決めるべき。政治に反映させるのは難しいが、地域の文化を後世に伝えるためには、地域の住民自身が主体的に考えて行動しなくてはならない。自治というのはそういうことではないか。

 参加者は約50名。2月15日には、飯田市危機管理対策室の後藤武志さんを招き第3回目の講演会を行うそうです(龍江公民館、13時30分から)。

 会場で当日配布された資料など: