報告集会

2019年2月8日・衆議院第二議員会館多目的ホール

司会(橋本原告団副事務局長)それでは開始の時間になりましたので、これから、集会を始めたいと思います。なお時間の予定はですね、最初の30分間はきょうの弁論の報告にあてます。それが終わりましたら、4時半から、阿部修治先生の講演。さきほど阿部先生と打ち合わせをしましたら、だいたい40分くらいで話は終わるから、あとはみんなからいろいろな質問をしてくれと、質疑応答の時間を少し取りたいというふうにおっしゃっているので、そのようにさせていただきます。

 それから、みんさんにアナウンスなんですけれども、きょう天野さんが紹介していた、リニアの談合の問題ですね。あの談合の問題で、2月14日に、裁判があるんですよ。2月14日木曜日、13時半から104号法廷、きょうの103号法廷の逆側です。104号法廷の大法廷ですね、ここで、大成建設と鹿島の談合問題での初公判があるということで、これは面白いですよ。12時45分から13時までが抽選ということのようです。

 では、私たちの訴訟やリニアの問題で、国会議員の皆さんたちが、関心を持って応援してくれています。この部屋をとっていただいた初鹿衆議院議員、初鹿先生、もうすぐみえられます。それから、もうすでに3人の方が、みえられていますから、さきにご紹介をして、ご挨拶をいただきたいと思います。それは本村衆議院議員、そのあと畑野君江衆議院議員、そして井上衆議院議員。一人2分ぐらいでお願いします。


本村伸子衆議院議員

 みなさんこんにちは。いつもほんとうにお疲れ様でございます。日本共産党の衆議院議員本村伸子でございます。わたくしは、大鹿村に行きたいと思っていて、国土交通省とやり取りをしていても担当者が変わって本当に埒があかないような状況がありまして、行きたいと思っていたところに、大鹿村の方々から、SOSが入りました。それで1月16日行ってきたわけですけれども、いろいろな状況を調べて来たのですけれども、まず最初にですね、住民懇談会、JR東海とそして大鹿村と請け負ったゼネコンの説明会があったわけですけれども、私参加したいって言ったんですよ。そうしたらダメだということで、東京で拒否されたんですね。ほんでも行くっていうことで、行ったわけです。ほしたら、その日は入らしてもらったんですけれども。なんかと、ほんでオープンな住民懇談会ですとか言ってきてビックリしたんですけれども、ま、そういうこともあったわけですが、それで問題、いま問題になっていることは、もともと大鹿村とJR東海は、迂回ルート、橋3本造って、迂回ルートで残土を運びますよっていうふうになっていたわけですけれども、一番最初の1本目の橋がですね、地権者の方の同意が得られないっていうことで、できないっていうことで、暫定的に国道を使うっていうふうになっていたんですね。もともと、1日68台、往復で通るっていうことになっていたんですけれども、そのあとですね、やっぱり314台にしますっていうことがあって、そんなのは納得できないっていうことで、住民の皆さんからSOSが来たわけです。行ってわかったことはですね、ずーっと説明されていることが、あとから覆される。もともとの説明は信用できないっていうこともはっきりといたしました。そして、もともと、地権者の同意もないのに確認書をつくったっていうそのことが、もともとおかしかったということで、進め方の、やり方ものですね、大問題だということがわかりました。各地の皆さんのSOSに応えることができるように引き続き頑張っていきたいというふうに思っております。ごいっしょに頑張りましょう。

司会:時間があれば、この中身を聞きたいぐらいなのにもし訳ございません。それでは畑野さんよろしくお願いします。

畑野君江衆議院議員

 あのうリニアの問題で、山梨でも工事が進められ、神奈川県川崎市でも、工事が進められ、そしてその土がですね千葉県にまで運ばれていると、水源地域を汚していると、また、南アルプスを縦貫するのがいいのかということ、皆さんがたたかっていただいております、大深度の問題もそうです。リニアの問題とちょっと違うんですけれどもね、神奈川県の伊勢原市というところで新東名のトンネル工事が行われているんです。有名な神社がありまして、三段の滝というところで、お水取りする、11月に毎年やっていたんですが、水が枯れちゃったんです。まったく滝に水が流れないでいて、その神事を、地下からもう一回水をもってきて、上からじゃっと流してそれをとると。宮司さんにききましたら、千数百年続いてきたことが今年はじめてできなかったていうんですね。ことことさように、やはり地下水脈というのは、どうなったかわからないと、現地の調査にも行って対策をまとめて下流のほうでは田畑を作って作業してらっしゃる農民の方たちも本当に大変だという声になっているんです。こういう一つの事例を見てもですね、みなさんの闘いというのは、全国の皆さんと共通する課題でもあるということで皆さんと一緒に頑張りたいと思います。ご一緒に頑張りましょう。

司会:畑野さんどうもありがとうございます。それでは、井上衆議院議員よろしくお願いします。

井上哲士参議委員議員

 皆さんごくろうさまです。共産党の参議委員議員の井上哲士です。あのう、公共事業チェックの会で初鹿先生お見えですけれども、山梨県にも視察に行ってまいりました。いまの畑野さんのお話の続きになるんですけれども、いま辺野古で超軟弱地盤ていうのが大問題になっていますよね、あれ実は埋め立て申請をしたときには、5本だけボーリング調査を防衛省がやって、大丈夫だっていうことで申請したんですね。そのご、22本ボーリング調査したら、じつに海底に深さ40mのマヨネーズ状の地盤があったと、これが、約3年前ですよ。その後もう一回調査をして、55本、今度はボーリング調査したら、実は60m厚さだったということになっちゃってですね、なんと長さ70mの砂杭を6万本打つ必要があるという、いまこういう話になっているわけなのですよ。だから、地上と海底は違うとはいっても、ことほどさように、地下の状況ってのはわかんないわけですね、こういう中でこういう工事をやればですね、どのような環境被害とか、それからどんな費用がかかるかと、いうことを考えるとね、こんな無謀な工事はやらせるべきでないと思っております。皆さんと力を合わせて頑張ります。どうぞよろしくお願いします。

司会:申し訳ありませんでした。衆議院議員と参議院議員と間違いました。きょうは、ずいぶん衆議院議員の方が多いなと思ってました。それでは、今お見えになっている方の最後のご紹介になりますけれど、この部屋をとっていただいて、しょっちゅう頑張ってくれている、公共事業チェック議員の会の事務局長もされておられる初鹿衆議院議員です。よろしくお願いします。

初鹿明博衆議院議員

 みなさんこんにちは。ご紹介いただきました立憲民主党の衆議院議員で公共事業チェック議員の会の事務局長を務めております衆議院議員の初鹿明博です。今週の月曜日に、静岡県に行きまして、静岡県の難波副知事を含めて担当の方々と、南アルプスの問題についてヒアリングと意見交換をさせていただいてきました。皆さんもご承知のとおり、静岡県というのは本当に、大変な状態になっていて、静岡県はタテに長いんですけれどね、上のほうの南アルプスの1000mをこえるところをトンネルでリニアが通って行くんですね。他の県との最大の違いは駅も何もないのでメリットは全く無い。でも、この南アルプスにリニアが通ることによって、大井川から水をとっているわけですが、この水が毎秒2万トン減るということになっていると、これはJR東海も認めている。このなくなってしまう水をどうしてくれるんだ、ということで、静岡県が質問状をJR東海に投げているのですが、それにたいしてJR東海が返してきた答えが、われわれもヒアリングをしていて不誠実だなということ以外の何物でもないような回答しか戻ってきていないという状況であります。おどろいたのはですね、南アルプスって皆さん知っていますよね。南アルプスのボーリング調査をしているかしていないかみたいな話になるんですけども、山梨側で調査をして、地盤の、地質の調査をして、地層の調査をしているんですが、肝心の静岡側ではやっていないのに、こちらのデーターをもとに、これぐらい水が浸透するからこれぐらいの水が減るんだということで2万トンだということを言っているということで、そもそもこれでアセスを通したこと自体やっぱり問題だったんじゃないかなと、原点に戻ってしまうような状態であるということも分かりました。非常にですね、国のこのアセスの制度自体にやっぱり不備があるんだということもありますし、JR東海が、簡単にいうと、ボーリング調査ができないような状態なんでしていないということなわけですよ。そんなところにトンネルを通すような工事をやらないといけないようなリニアの建設というのははたして本当に実現可能性があるのかという、そういう疑問をもったわけであります。そして、皆さん方がいま訴訟をおこして闘っているところですが、じゃ首都圏で考えたら、どうなのかという話ですよね。住宅がたくさんある、みなさんたちの住んでいるところの地下を知らない内にトンネルが掘られていくということで、これと同じことがじつはもう一つ起こっていて、ご存じだとは思いますが、外環道も同じように地下40m、大深度地下で造られていると、どちらをとっても非常に実現可能性ということで考えても難しい工事であるし、住民に対する影響というものが過小に評価されて過ぎているんじゃないかと思います。ちょっと話が関係ないことになりますけれども、地下はこうやってね、勝手に掘って、そして今度は空の上もですね、たぶん皆さんがたのところも影響するんじゃないか思いますが、羽田のルートの変更で飛行機をばんばん地上を飛ばすと、上も、空も心配、地下も心配みたいになるというようなことに東京がなるというのは本当に、私は問題だなあというふうに感じております。みなさんがたも、これから裁判でいろんなことを明らかにしていって闘っていっていただきたいと思いますが、われわれも国会の中で、そもそもやっぱりこの事業が実現可能性があるのかということと、それと採算性だとかそういうことを考えてもやれる必要がある事業なのかどうかということをきちんと検証をして行きたいというふうに思っております。あくまでも、国やJR東海はこれは民間の工事だと言い続けているんですが、民間の工事であっても、国の財投から3兆円を30年据え置きで貸し付けているという、まあものすごい事業なわけですよ。このなかで中小企業の経営者の方いらっしゃいますか、30年据え置きでお金借りれたらどうですか、そんな融資を受けれたら世の中の日本中の中小企業はこんなに苦労しないですよね。それぐらいに特殊なことをやって行われている事業であって、国がまったく知らないというわけにはいかないというふうに思いますので、しっかり国会でも問題点を洗い出して、そしてこのリニアの実現可能性が本当にあるのかどうかということを明らかにしていきたいというふうに思っております。ひきつづき、どうか一緒に頑張っていきましょう。ありがとうございました。

司会:初鹿さん、忙しい中ありがとうございました。このほかに立憲民主党の衆議院議員・阿部知子さんの秘書のまさのあつこさん、それから共産党の衆議院議員の宮本徹さんの秘書の松尾さん、そして先ほどご挨拶された、井上参議院議員の秘書の加藤のりおさんも参加してくださっています。多くのみなさんたちの参加ありがとうございます。お時間が許すようであれば、この後の報告とか講演などもお聞きください。時間の予定を変えましたが申し訳ございません。今の国会議員の皆様たちの話をうかがっていると単なる連帯の挨拶ではないというのが分かっていただけたかと思います。リニアにいろいろと関心をもたれ取り組まれているということで、ありがたいと思っております。是非、一緒にこれからもやっていきたいと思っております。それでは、お待たせいたしました。いまから弁論の報告に入りたいと思います。まず、代表の川村からひとことご挨拶を申し上げます。

川村原告団長

 先ほどの地裁前の集会から、法廷、それから、きょうの報告集会まで長い時間お付き合いをいただきましてありがとうございました。いま4議員のお話を聞いていて、ようやく私たちと議員たちの間で共通の問題意識ができあがってきつつあるという認識を深くしました。4人の議員のおっしゃられた問題は、ようするにアセスがけして十分ではなかった、むしろ不備であったということを認識されているということだと思います。私たちの裁判の裁判でも一つの柱はやはりアセスに対する違法性を問うているわけで、これまでのその地域の報告、警鐘、それに続いて、これからの立証の問題、これにおいて、われわれはアセスの違法性をつぎつぎに明らかにしていきたい。その成果を国会のほうにも反映させていただいて、私たちと一緒に闘っていただけたらと思います。それから、今日これからご講演いただく阿部先生ですけれども、早くから私たちのリニアの運動に関心を持たれていて、もう10年近く前だと思いますけど、相模原か町田で集会をした時にその集会にきておられてエネルギー問題はどうですかということを言われたことをまだ記憶に生々しく覚えております。それ以後、二度ほど、ご講義というか、勉強させていただいて、今わたしたちの知っている範囲ではもっともリニアの技術の危険性について良くお調べになって研究されているというふうに認識しております。きょうのお話はたぶんもちかえっても皆さんが地域の方々にリニアの全体にこういう問題があったということをお話しするのに非常に有効な材料を提供してくれるだろうと思いますのでお楽しみにお聴きください。それでは、ここまでありがとうございました。

弁論の報告

司会:それでは、今日の弁論全体について共同代表の関島弁護士さんのほうから報告をお願いいたします。

関島保雄弁護士

 共同代表の関島です。ご苦労様でございます。法廷の中で私の陳述がマイクの使い方がおかしくて大変聞き取りにくかったような話もききました。申し訳ありません。きょうは前半、蒲生先生、長野の弁護団ですけども、長野県の環境影響評価がいかに杜撰であるか、間違っているかということを、国の反論に対する再反論のかたちで述べていただきました。この裁判は提訴してから2年半ほどたっているわけですけれども、一都六県各地の環境影響評価の問題点を指摘してきました。それに対して国のほうから一応全部について反論が出ておりまして、あと残っている私たちの再反論は、川崎、町田、相模原の一部がまだもう1回反論しようということで、この次に予定しております。きょうは、その環境影響評価の問題点等含めて、原告適格ということについての準備書面をだしました。

 みなさんのおてもとに準備書は回っているかと思いますが、その原告適格ということばが専門用語でわかりにくいんですが、みなさんは、今七百三十数名が原告になっています。原告として国を訴えているわけです。間違った認可は取り消せと。この原告となるのに、だれでもなれるわけではないというような、行政のしばり、法律のしばりがあるのです。それが日本の場合は、行政事件訴訟をあちこちで起こされては困ると官僚が考えたと思うのですが、ようは訴訟を起こせる人を非常にせまくしぼろうとしているのです。その要件が原告の適格、資格とみていただければ結構ですが、この処分によって、今回の処分はJR東海が自分のやるこの中央新幹線の工事計画を認めて下さいよという申請をしているから、直接の宛名はJR東海なんです。だから、わたしたち原告になっている人たちは直接は処分の対象にしているわけではないのですが、その処分の結果工事が始まるわけです、工事ができるのです。そのことの影響として、工事によって被害を受ける可能性のある人たちも、工事を認めてしまっては困るではないかということで、取り消しを求めているのが今の私たちの裁判なのです。そうなると、工事によってどういうふうな困ったこ事態があるのか、どこがこの工事の計画の問題なのかということを、原告ひとりひとりの自分はこういう被害を受ける可能性があるよということを主張しなくてはいけないのです。それが原告適格に関する今回の主張の整理したものなのです。

 一つは安全な乗り物。乗っても事故がすぐに起きてしまっては困る、あるい暗いトンネルの中に閉じ込められたら逃げられないじゃないかといった乗客の安全というのは、大量輸送の交通機関にとしては、電車に限らず、飛行機もそうですが、すべての運輸機関に当てはまるものです。なおさら高速で走るものは一層危険は伴うわけですから、より安全な対策をとっていただかなくてはなりません。こういう安全の配慮という意味で、国民がJR東海のリニア中央新幹線に乗る可能性のある人は、この乗りものは安全が確保できていないのではないかということで、取り消しを求める原告適格があるという主張が一本の柱です。ただこれはある意味では、ひとりひとりというよりは国民全体のものじゃないか、そういう問題は本来は国会とか全国民のまえで議論すべきことで、裁判でやることではないのだというのが国の主張です。私たちはそうではなく、鉄道事業法というのは厳格に個人個人の権利を確保する、安全を確保するためにあるのだから、個人としての権利があると主張している。それがもう一つです。

 もう一つは、南アルプスの自然を守りたいという、これも全原告に共通する権利だという点です。なかなかこういう自然を守る権利というのは、たとえば、沖縄のジュゴン、辺野古のジュゴンの裁判とか、石垣島の白保のサンゴ礁を守る闘いとかいくつか過去にも裁判をやってきています。日本の裁判所はなかなかこういう環境を守る、貴重種を守る、こういう裁判で個人個人の権利の訴訟を認めていません。そういう意味では非常にハードルが高いのです。南アルプスを守るというだけでは。しかし、世界の流れは、地裁前集会で言及しましたが、オーフス条約が、2001年ですから、もう18年も昔にできた条約なのですが、これはヨーロッパを中心に、一人一人が原告として環境訴訟を起こす権利、自然保護団体のような団体が環境的利益を守ろうと裁判を起こしたり、政策形成に関与したりという、こういう権利を保障しようという条約なのです。日本政府はこれに加盟していませんが、日本でこの種の環境訴訟ができないのはオーフス条約に加盟しないからなのですが、こういう視点で原告個人個人が日本の環境を守らせる権利を主張できる場を保障すべきだと裁判所に訴えていきたい。しかしこの2つは、さっき言ったように非常にハードルが高い訴えなのです。

 もう一つは物件を持っている人。このために山梨では立ち木トラスト、桑畑の桑を一歩一本皆さんに買ってもらっているのはですね、物権的な権利を持てばなんとかなるだろうということもあって訴えています。しかし、これについて国は、この計画が認可されたからといって、土地を取り上げる訳ではなく、自由にそこに耕作したり住んだりできるので、工事の認可段階では直接の物件の権利を侵害するわけではないので原告適格はないといっています。ではこういう所有者たちはどういう段階で訴えれるのかというと、お金を払って無理やり取り上げる土地収用手続きが将来くる場合でよいではないかというのが国の言い分です。その土地収用法の事業認定に取り消し訴訟の裁判ができるから良いというのですが、土地収用法が適用されるときというのは、本当にもう両側は工事が進んできていてぎりぎりの段階で買収に応じない、そういうときにはじめて取り上げるという伝家の宝刀のようなものですから、そうめったに使えるものではないのです。そういうものがせまってくるまで、まったく何もできないではおかしいではないか。そもそも、この工事計画は東京から名古屋まで、非常に広い範囲で、しかも工事はあちこちばらばらに行われてくるわけです。こういうものが始まって、いずれ予定ルートがあなたの土地にかかっていると言ってくるということは分かっているのですから、これは計画そのものが間違っているのだという訴訟が起こせるのが当然ではないかというのが私たちの3つ目の主張です。今日はそれも主張しました。おもに山梨県について、自分の土地はここにある、新幹線はここを通るといった証拠を出しているのですが、実は国とJR東海はまだそれについて、そういう事実があるかないか、認否していないのです。きちんと認否させることで、彼らに自分たちが造ろうとするリニア新幹線がどこを通るのか具体的に示していない、明らかにしていないのでそこを明らかにしていく、せまって行く必要があると思います。

 もう一つ一番大きのは、多くの原告の皆さんがどのような具体的な被害を受けるのかということで、準備書面にこういった分厚い別表をつけてあります。皆さんには直接お見せで来ていませんが、いずれ地域の事務局の方に見てもらってチェックしてもらいたいと思いますが、一番分かりやすいのは山梨みたいな地上部で列車が通るところの音です。列車の騒音です。こういう音が1㎞も2㎞も届くわけではありませんから、列車騒音とか振動、あるいは低周波、微気圧などこういうものは、アセス等を踏まえて私たちは、今回の裁判の主張では、400mくらいの目安で距離をとるとか、多少それなりの根拠がないと、勝手に1㎞だの2㎞だのいうこともできいので、環境アセスを踏まえてそれより少し広い範囲で原告適格を主張しております。一番わかりやすいのは、騒音とか日照被害です。日影の被害もそれほど遠くまで及ぶわけではないので、しかも橋脚から北あるいは北西の側に自宅のある方しか適用されないので、甲府盆地の方たちの中で、比較的近い、だいたい100mくらい辺りの原告の方たちを、日照被害が想定されるなど、さまざまの項目についてやっております。しかし、できるだけ広くしようということで、例えば上水道、神奈川県の方は半分方が相模川から水をとっているんですね。相模川の支流にリニア新幹線の工事個所があるので、水が汚染されて流れ込んで来ると、神奈川県民が飲んでいる水道水が汚染される可能性があるということで原告適格を飲料水の汚染という問題で項目では入れてあります。甲府の盆地も、甲府の南側、昭和町とか中央市、あるいは南アルプス市、富士川町とか、ルートに近いところの町の上水道はいずれもその近くの深井戸から水をとっておりますので、工事に伴ってそれが汚染されたり、減水したりする危険性、可能性があるということでやっております。そういうふうに一つ一つやっております。

 ただ一番、私たちが大きく見ているのは、残土捨て場がまだ決まらないためにどこを車が走るか全く予測がつかないので、残土捨て場になる可能性、あるいはそのルートに来そうな人たちは、運搬による騒音、大気汚染、振動、渋滞等における生活妨害が起きる可能性があるということで、原告適格を広くとっています。いずれにしても、これはかなり先にならないと、残土の捨て場などは決まらないでしょう。そんな中でルートはどうしてもアバウトにならざるを得ないことは、国も否定できないだろうし、裁判所もまったく否定できないだろうから、そういう意味でかなり広い範囲で原告適格を可能性があるものとして、私たちは主張しています。

 こういうことをどこかでやって行かないと、そして裁判所もコアな、コアなというのは騒音とか日照被害とか山梨の方たちが中心なりますが深刻に被害を受ける可能性のある人がかなりいるのです。こういう人たちがいる限りは、例えば南アルプスがどうだとかいう抽象的な議論ではない具体的な被害があるこういう原告を数十人この訴訟はかかえています。それから立木トラスト等で数百人レベルになりますが、原告をかかえている。こういうことを裁判所に明らかにすることで、審理を促進させていこうと考えていますので、今回はそういう意味で一定の範囲で深刻な、いわゆる日常生活における被害が想定される人がたくさんおりますよということを示すことで、裁判所も安心して、審理を進めていける、そういう対応を求めるために、こういう準備書面をつくり明らかにしたわけです。

 今後は5月に裁判が予定されていますが、そろそろ立証計画を立てて、今日は阿部先生の講演ですけれども、こういう輸送の安全が確保できるのかとか、水の問題はどうなっているのかとか、あるいは、地質の破砕帯のあるいは地震が起きた時の対応は大丈夫なのかといった、専門的な科学的な立証が要求される分野が出てきますので、そういう立証計画も深めながら証人を確保して、今後1年2年もうちょっとかかるかと思いますけれども、この裁判の全体の青写真をわれわれなりにつくってみて裁判所に提起していきたいと思っておりますので、皆さんには、そういう意味ではいろいろご協力いただくことがたくさんあると思いますけれどもよろしくお願いいたします。

司会: 時間の関係もありますけれども、どうしても質問したいとか、わからないとかありますか。のちほどでも、事務局の方におっしゃってくだされば、地裁前の事前集会でも川村団長も言いましたけれども、ものすごい大変な作業をやったんですよ。われわれも行ってパソコンを使いながら、距離を測ったり、ひとりひとり、できるだけ原告適格を認めさせるという視点で頑張りました。弁護団の皆さんには、関島弁護団長をはじめ、事務局長は咳をしながら、今日もまだ調子悪いんですよね横山さん、本当に申し訳ないです。頑張ってますので、われわれもともに頑張りたいと思います。引き続きよろしくお願いします。法廷があれだけ本当にいっぱいでね、裁判長も気合がはいります。ありがとうございます。今日の弁論を、長野の蒲生弁護士さんがしてくださったので、蒲生さんこちらで、ちょっとお話願います。

蒲生路子弁護士

 長野県弁護士会に所属しております蒲生と申します。今日は聞いてくださってありがとうございました。この裁判が始まってもう2年以上がたちますけれども、これだけ多くの皆さんが院内集会に参加してくださって本当にありがたく心強く思っております。ほんの少しだけお話しいたします。私が意見陳述した内容はさきほどお伝えした通りですけれども、ざっくりいうと、長野県における環境影響評価なんですけれども、知事の意見も勘案して必要な手順に検討を加えて検証をして、法令に従った内容になっているということを被告は言っているんですけれども、よく見ていきますと、例えばですね、さきほど記者さんにも説明させていただいたんですけれども、大気汚染の気象データのところなんですけれども、知事が、JR東海が最初に1週間しかデータをとっていなかったんですが、通年で観測せよと、私たちはそういうふうに言っているんでけれども、通年でのデータ、同じくらい、四季のデータ、四季、一週間ずつしかJR東海はデータをとってなかったんですけども、それが妥当性があるものか知事が検証してくれと知事がいってまして、ちゃんと検証しましたというふうに補正後評価書には書かれているんですけれども、四季、一週間と通年のデータを比較して、あまり差はないですという、そういう表を補正後の評価書に載せているんですけれども、そこで通年のデータとして載せられているものをよく見ますと、2か所しか通年のデータが実際には用いられいなくて、ほかのところは、一週間のデータを通年のデータですといって使っているんですね。なんでそんなことが許されるのかと言いますと、JR東海は、ほかのところ、その一週間のデータは通年のデータと変わらないことを検証したといっているんです。その検証の方法というのも、2か所だけ、通年で調査した2か所だけ通年で調査していますから、そのうちの一週間だけをとってくると、通年のデータと両方とれますよね。それで、2か所だけでは差がなかったので、ほかの地区でも通年のデータと一週間のデータはあまり差がないですといって、ほかの地区でも一週間のデータを通年のデータとして用いて検証しているんですね。なので実際には、同じデータ、一週間のデータを検証、比較しあっているだけなので、それは差がないのは当たり前というような状況になっておりまして、あまり早口で分かりづらかったかも知れませんけれども、ようは、非常に疑問的な、欺瞞的な方法で検証がされているところがありまして、ほかの部分でも、調査の結果、小日影銅山とかがありまして、影響が懸念されるというような箇所でも、そういう場合でも、改変区域を小さくするので大丈夫とか、結論として大丈夫といわれているんですけれども、どういう方法で大丈夫なのかという検証がしっかりできていないと、特に専門的な知識がなくてもしっかり読んでいくとそういうことがわかる内容になっております。ですので、環境影響評価が著しいのでこの計画を止めるとかそういう結論がぜんぜんない、そういうためのものではなくて、どんな影響があってもやりますというような姿勢が読み取れる内容です。ですので、われわれの大事なかけがいのない環境を将来の世代に残していくために、このような杜撰なアセスの手続きによる本件の認可処分というのは、とても許すことはできないと改めて感じました。すいません、早口でわかりづらかったかもしれませんけれども、これからも是非応援していただいて頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

司会:蒲生さんどうもありがとうございました。きょうこの場に、さっきいったオーフス条約ってでましたけれども、礒野弥生先生も見えられています。時間があればコメントしてもらうといいんですが。この方は是非最初のところでということで紹介しいのは、この間、大深度の異議申し立てをやったじゃないですか、そうすると、ご自分の家の下をトンネルが通るというので、これは大変な問題だということで、きょうその弁護士さんが来てくださったんですよね。このあいだ記者会見があって、新聞記事をみてわたしビックリしたんですね、朝倉弁護士だと。環境問題、公害問題をやっている人なら、この弁護士さんを知らない人はモグリだというくらいの著名な方です。朝倉さんちょっとご紹介したいんで、前の方へよろしいですか。(会場から朝倉弁護士:あながあったらはいりたいです。)おひとことどうぞ。(いやいや、また、おりをみて)。いいですか。(はい)。わたしはですね、かってながら、朝倉弁護士さんにですね是非この弁護団に一緒に入ってやってくださいって、天の恵みだと、朝倉さんのご自宅の下をトンネルが通ったのはありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。じゃ、10分ぐらい遅れましたけれど、申し訳ございません。これから阿部先生の講演を始めたいと思います。阿部先生よろしくお願いいたします。先生の紹介は川村団長がしてくれましたのでわたしのほうからは省きたいと思います。じゃ、よろしくお願いいたします。


講演

「リニア新幹線」:限界技術のリスク


講師:武蔵野大学工学部教授・阿部修治さん。穏やかな語り口で、分かりやすいお話でした。マスコミなどでは、ほとんど話題にならないリニアの技術の問題点について話されました。レジメを掲載します。理解しやすいレジメです。是非お読みください。

講演レジメ