学習会「中部電力自主アセスの問題点」、8月29日
更新:2018/08/27、参加報告を追加 2018/08/30、「南アルプスから学ぶ会」から呼びかけです 2018/08/31
「南アルプスから学ぶ会」が「中部電力自主アセスの問題点」をテーマに学習会を行います。講師は、日本自然保護協会保護室長の辻村千尋さん。場所は大鹿村交流センターで、午後2時から3時20分。なお、午前中は辻村さんと役場でアセス報告書を閲覧するほか、終了後は記者会見(調整中)を予定 (南アルプスから学ぶ会・0265-39-2067・munakatami@gmail.com )。
中部電力リニア送電アセス学習会 中部電力は豊丘村から大西山を越えて大鹿村上蔵地区への送電計画の 環境アセスを独自に行い、現在、9月5日まで、 大鹿村役場のカウンターと中部電力飯田営業所で 報告書の閲覧を実施しています。 青木川、小渋川を送電線が横切り、大河原から赤石岳を望む景観を 東電鉄塔で破壊する計画で、住民の多くが説明会で 反対を表明しましたが、現在に至っても、 中部電力は計画を変更しません。 さて、今回の「自主アセス」は、「手法に企業秘密があるため」という 理由でホームページで公開しないほか、閲覧はコピーも写真撮影も 許さない、というのが中部電力の姿勢です。 ちょっと考えてみて下さい。 手法に汎用性のない手法が、環境への影響を推し量る 一般的なアセスの手法として通用するのでしょうか。 企業秘密を役場のカウンターで不特定多数に 閲覧させる行為は、情報漏えい行為ではないのでしょうか。 そして、こういった中部電力の手法は、私たちの知る権利を 侵害していないでしょうか。 当日は、アセスの専門家、日本自然保護協会の辻村さんを招いて、 今回のアセスの問題点についての学習会を行います。 わけがわからないうちにことが進んで後悔しないよう、 急な設定ですが、お誘いあわせの上、来てください。 日時 8月29日(水)14:00~15:20 場所 大鹿村大河原交流センター大広間 内容 中部電力自主アセスの問題点 講師 辻村千尋(日本自然保護協会保護室長、リニア新幹線計画に伴う 自然破壊についてアセス段階から取り組む) *参加費無料、予約不要 主催 南アルプスから学ぶ会 TEL 0265-39-2067 メール munakatami@gmail.com なお、午前中は辻村さんと役場でアセス報告書を閲覧するほか、 終了後は記者会見(調整中)を予定しています。
学習会参加報告
講師の日本自然保護協会の辻村千尋さんは、午前中、村役場で報告書を閲覧した上で問題点を指摘されました。以下、辻村さんの指摘です。
- 情報の公開の仕方が問題:自主的とは言っても、アセスは住民などの意見を聞いて事業を良いものにしていくという意味があるのだから、ウェブ上に公開しない、限られた場所だけで、コピーも写真撮影も禁止ではおかしい。村に提出した書類なのだから、村の取り扱い方に問題がある。
- 送電線は、リニアのためのものである。リニアの他の工事との関連が無視され、送電線単体についてのみ行われている。
- 猛禽類については、JR東海のアセスも参照しており、JR東海と情報交換をしている。工事車両の交通量など、他の工事の進ちょくを合わせて考えれるはずなのにやっていない。工事が複合して行われる場合の影響について考えていない。
- 植物の移植については、移植先の生息の可能性について現地調査が必要だが行っていない。具体的な移植計画がない。専門家の氏名がない。
- 景観については「見た目」についてのみ行っただけだが、景観とは自然と人間の暮らしの全体が表れたものととらえるべきである。環境省のアセスについての考えもこの点は弱い。一日の中でも日のあたる向きなど時間の変化で見え方も変わるので、提示されているフォトモンタージュは不十分。景観の点で代替案として、地表へ敷設する方法、地下埋設なども考えられるはず。竜西地区からの眺望については検討していない。
- 地下水などへの影響は少ないと思われるが、鉄塔の設置場所でボーリング結果に20mまでが礫層という部分、また地すべり地帯もあり不適切と思われる。
- 工事が終わり供用開始後の事後調査が弱い。電線の点検にヘリコプターを使う可能性があるが、ヘリコプターの飛行により猛禽類が営巣放棄をした例がある。
- クマタカについて工事期間中に慣れる(順化)だろうとの記載があったが、順化するという知見は確立したものではないので、試行してから、行うべき。順化について証拠となる論文があるのか、クマタカではないに等しい。
- ミソゴイについては、IUCNのレッドリストにもある。渡り鳥で日本で繁殖するが、生息環境の条件は猛禽類より難しい。大鹿のような狭い谷に生息するとすれば希少である。まず、営巣地を確認することが肝心。
- 陸棲貝類を落ち葉ごと移動するという方法は、必ずしもよい方法とは言えない。繁殖の機会を減らす恐れや、周囲の土壌や空気の条件が違うことなど。
- 科学的なコミュニケーションである環境影響評価のなかで、専門家の氏名が公表は必要。専門家としては公人であるから。
- アセスの読み方としては、論理の筋が通っているかどうかを見ること。
- 住民としては、意見は出すべき。
閲覧と意見の受付は下記の場所です。
中部電力送電アセスは5日まで
大鹿村、宗像です。
一昨日日本自然保護協会の辻村さんをお呼びして学習会を開きました。
レポートはこちらです~
http://akaishimonitor.jp/report/
転載歓迎!
辻村さんにはいろいろとご指摘していただきました。
たくさんの意見を寄せることが、計画の修正や中止にもつながります。
以下のようなことは共通する問題点として指摘してもらったところです。
念頭に置きつつ、役場や飯田の中部電力で、意見を寄せて下さい。
今のところ役場では意見が少ないそうです。
1 複合的な影響の欠如
今回は15、3キロの送電網の建設にかかわる影響についてのみ評価されているが、実際は並行して進むリニアの他の工事との複合的な影響を評価しないと、実際の自然や人間生活への影響は出てこない。
2 手続きの問題
公開の仕方も問題だが、実際に疑問がでた際、中部電力がそれについて説明する場を設けて疑問に直接答えないと疑問は払しょくされない。
3 建設後の影響も
鉄塔のメンテナンスなどで、ヘリを利用してそのことが猛禽など希少種の営巣に影響を与えることがある。その点の評価がなされていない。
4 移植計画の不在
植物や陸生貝類などでは、移植による保全がなされているが、その移植先の調査も含めた移植計画がなければ単に移動させるだけで保全にはならない。
5 景観への影響は見た目にとどまらない
鉄塔と送電線のフォトモンタージュだけでは、一日、一年の暮らしへの影響は評価できない。いまある景観はその土地の成り立ちや歴史の結果なのだから、それにどういった影響が与えるのかを考慮しないとならない。
以上、よろしくお願いします!