更新:2018/01/23
リニア訴訟第8回口頭弁論報告(速報)
ストップ・リニア!訴訟の第8回口頭弁論の速報を掲載します。印刷用PDF
リニア談合関与のゼネコンに工事続行させるのは許されない
首都圏の工事で土壌汚染や生活破壊は深刻、人権問題だ!
1月19日、ストップ・リニア!訴訟第8回口頭弁論と報告集会
1月19日午後2時30分から東京地裁で、スト ップ・リニア!訴訟の第8回口頭弁論が開かれ、原 告の井上八重子さん(東京都品川区在住)、伊藤清 美さん(川崎市麻生区在住)の原告2人と、原告側 の横山聡代理人が意見陳述しました。
地裁には傍聴券を求めて前回と同じ155人が 長い列をつくり抽せんに臨みました。
(地裁前集会)
洗足池の水が無くなる心配~井上原告
井上さんは、リニア新幹線の大田区の大深度ルート近くに、区民の憩いの場である洗足池があり、工事で地下水の流れが変わり、池の水が抜けるのではないかと不安を訴えました。また、トンネル工事予定地近くで環境基準を大幅に上回るヒ素(0.01ppm/l)が検出されていると指摘した上、「汚染された土壌を洗浄する方法を使う」というJR東海の回答は具体性は無く、環境保全の観点からは掘る前に土壌汚染対策を講じるべきだと述べました。井上さんは膨大な工事車両についても言及し、学校の児童千二百人が通学する国道317号線は片側1車線であり、12年にわたってリニア工事車両が走行すれば、排気ガスによる健康被害が予想される、生活道路や通学路を工事車両が走行することを知らない住民も多いと述べ、タダ同然で財政投融資を受けたリニア新幹線の工事中止を訴えました。
巨大な非常口建設で生活破壊」~伊藤原告
つづいて証言席に座った伊藤さんは、大規模な環境破壊を招き、大惨事を招きかねない無謀なリニア新幹線工事の認可を取り消すよう求めると前置きした上で、麻生区東百合ヶ丘非常口工事のさまざまな問題点を指摘しました。 (下写真)
まず、この非常口の周囲には病院や老人の特養・介護施設、幼稚園、保育園小中学校、大学、子ども文化センター、スーパーマーケットなどが存在し、工事による生活、教育、福祉面での影響は甚大なものになると述べました。伊藤さんによれば、工事ヤードの北側に隣接して閑静な住宅街があり、騒音や振動の他、台地を大規模に削り取ったために、土圧の変化で地盤の沈下や隆起の可能性があると述べ、この土圧の変化で、北側の地下を通る川崎市の導水管(内径3.5m)が動く可能性があるとして、市の上下水道局がJR東海にボーリング調査を指示していると述べました。
また、昨年2月、JR東海神奈川工事事務所川崎分室に対し、工事残土処理、土壌汚染対策、交通渋滞、大気汚染などについてJR東海に申し入れを行ったが、納得できる回答はなかったと述べ、とくに麻生区など市北部で高速道路や幹線道路のクルマの影響でぜん息患者が急増していることをグラフで示し、大量の工事車両を必要とする大林組JVによる東百合ヶ丘非常口工事の即刻中止を訴えました。
財投という後付の資金融資には、工事を一旦中止し、適正な環境影響評価したかの確認が必要
横山代理人の意見陳述
横山代理人は意見陳述で、東京都区部や川崎市は人口密度が高く、市街地として住民への配慮が求められる地域であるが、JR東海の環境影響調査は工事優先であり、最低の環境保全しか考えていないと批判しました。
残土処理の方法や場所が決まっていないのに環境影響評価を行い、環境保全措置も不十分なまま工事認可した国の対応には怒りを覚えると述べました。
横山代理人はリニア談合問題にも触れ、融資によってスーパーゼネコンは安心して工事を受注できるようになった、後付けの融資があれば、経営の安定性・工事の採算性・安全性について国会の調査や監視が及ばない状態で工事ができることになる。このような工事は極めて不適切であり、一旦工事を中止して、再度環境影響評価を尽くしているか再確認すべき」と述べ、リニア工事認可の取消しを求めました。
8回連続で103号法廷の傍聴席が満席に
今回も傍聴券が抽せんとなり、100席近い東京地裁の103号法廷の傍聴席は満席となった。これで8回連続の抽せんです。そして、口頭弁論終了後午後3時15分過ぎから、司法記者クラブで、原告団の記者会見が行われました。(上写真)
会見には弁護団の関島保雄共同代表と横山聡事務局長の弁護士2人、川村晃生原告団長、それに意見陳述した井上さん、伊藤さんの原告2人が出席して、この日の弁論内容について説明しました。記者からは談合問題について質問があり、事件捜査によりメディアの関心の高まりを感じました。
次回第9回口頭弁論は3月23日(金)となります。
リニアも日本列島コンクリート漬け土木事業
工事費高騰で財投するのは税金のドブ捨てだ
報告集会で横田 一氏がリニア談合で講演
1月19日の口頭弁論のあと、参議院議員会館でリニア訴訟報告集会が行われ、口頭弁論の報告や意見陳述者の挨拶などがありました。午後4時30分から、「リニア談合の真相に迫る」というテーマでフリージャーナリストの横田一さんが講演し、以下のように述べ、通常国会で与野党激突の政治テーマになる可能性を指摘しました。
「リニア事業は『人からコンクリートへ』という安倍土建政治の産物である。東日本大震災の復興工事など国土強靭化の名のもとに公共事業が目白押しの上に東京オリンピックもあり、工事費は高騰している。そのような状況の中で、リニア工事に3兆円の財政投融資が投入されたが、事業者が見積もる工事にはならない。また小規模な生活関連事業が遅れる事態を招く。
リニア談合は事業者のJR東海とスーパーゼネコン4社が共謀して受注調整談合したものだ。JR東海も早く発注しないと遅れるという焦りがあった。それで名古屋・大阪間の開業の前倒しを理由に3兆円の財投を引出し、ゼネコンに受注しやすくしたのではないか。
東京地検特捜部はリニア談合についてはやる気であり、政治家が介在していると見ている。森友・加計・準強姦・スパコン・リニアの5大疑惑について通常国会で政治問題化する可能性があり、野党が一緒になって追及することを期待している」。
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報告集会には110人が参加、福島みずほ、本村伸子、辰己孝太郎、山添拓の各国会議員が出席、沿線住民との連帯の意思を表明しました。