リニア中央新幹線工事の土壌対策に関する要請書について
更新:2017/12/27
12月5日に長野県(県知事と副知事宛て)に対して「リニア中央新幹線工事の土壌対策に関する要請書」を出しました。以下、要望内容を紹介します。全体は、PDFを見てください。
リニア中央新幹線工事の土壌対策に関する要請書
リニア中央新幹線の工事では、長野県内で1千万立方メートルに近いトンネル掘削による発生土が見込まれます。発生土の処分地の候補地がいずれも谷や沢であり、大災害だった三六災害の経験がある住民の土石流災害へ懸念から、処分地がほとんど確定できていないのが現状です。
また、発生土に含まれる重金属等による環境汚染が懸念されます。本来であれば、何万、何十万年単位の年月をかけて地表に現れる、地中に眠っている重金属を地表に出し、外気にさらすのですから、その扱いは最大限慎重でなくてはなりません。すでに山梨県では早川町内の発生土置き場の地下水から、環境基準を超えるフッ素が検出されました。今後も沿線のリニア関連工事の排出土からヒ素をはじめとする重金属が見つかる可能性があります。たとえば、大鹿村では、かって鉱毒問題を生じた小日影銅山の鉱脈にリニアトンネルがあたる可能性があります。また蛇紋岩体の存在する青木地区からの発生土にはさまざまの重金属類が含まれる可能性もあります。
以上のような事実や今後想定される事態について、「JR東海が大丈夫と言っている」として、事業者任せでは安全は確保できないと思います。
さらに、JR東海は、発生土のサンプリングや定期的な地下水調査で問題は解決できると説明していますが、検査は連続的に行う必要があります。トンネル湧水、発生土や工事ヤードからの流出水で水生生物を飼育し水質を監視する生物学的毒性試験など、検査方法についてもできうる限り確実な方法手段を講ずることを要望します。
県民が安心、安全な生活を送るために、ここにリニア工事発生土の検査および地下水調査と管理についての専門家による第三者機関の設置を強く要請いたします。
以 上
12月27日、長野県から建設部リニア整備局次長、環境部環境政策課長連名の回答(26日付)が来ました。以下、回答部分のみ紹介します。全体はPDFを見てください。
リニア中央新幹線工事の上壌対策に関する要請書について(回答)
平成29年12月5日付けで要請のありましたこのことについて、下記のとおり回答します。
記
リニア中央新幹線に係る発生土置き場については、関係市町村から情報提供された候補地について、JR東海が地元の了解を得られたところから、候補地ごとに調査、測量、設計等を進めているところです。
要請のありました件につきまして、県は平成26年3月にJR東海に対し、環境影響評価法(平成9年法律第81号)に基づく環境影響評価準備書について、発生土置き場(仮置き場も含む。)の計画が具体的に決まった時点で、調査、予測及び評価を行い、その結果を公表するとともに、県に報告し、必要な助言を求めるよう知事意見を提出しています。
JR東海では、これを受けて、発生上の調査を含め、環境保全に関する調査及び影響検討を事後調査として実施することとし、その内容について公表するとともに、県に報告し意見を聞きながら進めていくこととしています。
なお、現在大鹿村内仮置き場に発生上が搬入されているところですが、砒素やふっ素など重金属等についてJR東海が調査を行い、仮に基準不適合土壌が発生した場合は、JR東海がその都度、県及び関係市町村に報告するとともに、地元の方々にお知らせし、関係法令等に基づき適切な対策を講じることとしております。
県では、事後調査の報告の内容について長野県環境影響評価技術委員会において審議を行うとともに、関係自治体及び住民からの意見を踏まえて必要な助言を述べることとしており、引き続き、 JR東海に対して適切な対応を求めてまいります。